アラン・ドロンの舞台出演


小沢代表の引用でもメディアにも注目のルキーノ・ヴィスコンティの傑作『山猫』ですが、その作品に出演したアラン・ドロンはヴィスコンティの演出でジョン・フォード(といっても劇作家)作の舞台《哀れ彼女は娼婦》を当時の恋人ロミー・シュナイダーと主演して単なる美男スターから新たな道をスタートさせました。その舞台出演を終えるや出演したのが、この8月にDVDで初お目見えとなるフランス公開版『フランス式十戒』(日本版は1エピソード多かったが、そこにはなんと数秒間だけミレイユ・ダルクが登場する!)。十戒というだけあってコメディあらシリアスなエピソードが混在する作品だが、ドロンはここでは渋く登場するので、ファンには必見の一本と言える。

そんなドロンだが、『ハーフ・ア・チャンス』(96)で映画界の引退(ちょっとしたゲスト作はあるが)を宣言してからは、舞台とTVミニ・シリーズがメインとなっている。ロベール・オッセンが支配人に就任してからというものスター俳優の起用で話題を集めているシャンゼリゼ大通りに構えるマリニ劇場 Théâtre Marignyは、3月から6月にかけてエミリー・ドゥケンヌとブリュノ・ボルコヴィチ(リヴェットの『ジャンヌ・ダルク』)共演によるストリンドベリ作《令嬢ジュリー》を公演し、9月からはイザベル・アジャーニが『メアリー・スチュアート』に主演するなど、常に話題を振りまいている。

アラン・ドロンは68年に2度目の舞台をして以来、演劇界からは遠のいていたが、96年にオッセンの誘いでこのマリニ劇場で舞台に再挑戦した。それはこの後『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』でも話題となったエリック=エマニュエル・シュミットの『謎の変奏曲』Variations énigmatiques である。これは期間限定公演だったため、完売御礼となり、98年にアンコール再演となった。この成功で、これで気を良くしたドロンは、2004年にエリック・アスス(『ぼくセザール』の脚本家)の書下しによる『Les Montagnes russes』で再び、マリニの舞台に立った。これは中年の男(実際は初老と言っていい年だけど、ドロンはそうは見えない!)が若い女性を連れ込んだことで起きる悲喜劇で、爆笑の後に驚きのどんでん返しが待ちうける展開。ドロンはこのプレイボーイを見事に演じてスタンディング・オベーションの喝采を浴びていた。

そして2007年1月より同劇場で演じるのは、クリント・イーストウッドとメリル・ストリープによる映画版でも話題となったジェイムズ・ウォーラーの大ベストセラー『マディソン郡の橋』の舞台版《Sur la route de Madison》である。主婦フランチェスカ役で共演するのはなんと70年代の名パートナー、ミレイユ・ダルクというのも大年のファンにはちょっと嬉しいのでは? なお、フランスのドロン狂というお姉様方は、公演中のマナーを無視して写真やビデオを撮りまくり大迷惑で、公演後も楽屋出口で狙っていたりしました。しかし、相手も上手なのでサイン待ちは無駄に終わるので、鑑賞ツアーを企画される方はご注意を!