ジャン=リュック・ゴダール全作上映
パリに行けば、なんらか見たかった作品が見られるという凄い所である。
2006年秋にシネマテーク・フランセーズがベルシー Bercy (Gare de Lyon駅の次の駅)にオープンしてからはというもの、こんな素晴らしい施設で、こんなにお得で(年間フリーパスは120ユーロだが、30ユーロのスイカみたいなカードもあって通常より割引され4ユーロで1作見れる!計算上はフィルムセンターより高いけど)、こんなに沢山の映画が見れるようになるなんて!と、ワクワクものでした。
しかし、この春はペドロ・アルモドバル、ウィリアム・フリードキン、そしてポラールもの(フレンチ・ノワールとかでもいいですが、フィルム・ノワールではありません)の特集ということで、普通に映画を見てきた人なら駆け付ける程でもない企画だったので(とは言ってもブルーノ・ガンツ主演「5 % de risque」はゆるいけどなかなか面白かった!)、いまいち白け気味でした。
その隙を狙ってか(!?)、4月24日からポンピドゥ・センターでスタートしたのが「ジャン=リュック・ゴダール全集 Jean-Luc Godard rétrospective intégrale : 140 films, documents : 75films」である!
特集タイトルの通り、140本の映画と75本のドキュメンタリーをかき集めてゴダールの絡んだ作品を全て上映するというとてつもない企画。これまでなかなか見ることのできなかった作品の上映はもとより、ゴーモン所有の作品はこのためにニュー・プリント版を披露するのである。
初日の4月24日は、余談ながらブリュッセルのBOZARでウジェーヌ・グリーンの傑作『芸術橋』 Le Pont des Arts (2004)にも出演して、モンテヴェルディの演奏を聴かせてくれたヴァンサン・デュメストルとル・ポエム・アルモニークの演奏会(と言っても2005年の東京公演と同じ演目だったが)に行こうかと迷ったりもしたが、結局シャンゼリゼ劇場でロッシーニのオペラ『セミラーミデ』の久しぶりのパリ公演なんてもののチケットを買ってしまったため、ゴダール本人が舞台挨拶する最新作である中篇ドキュメンタリー『Vrai faux passport』は見ることは出来なかった(しかも、オペラの公演の方はどっちらけで選択ミス!)。30日には、クリストフ・ブルセイエ(ゴダール作品にも何度か出演した人)とクリス・カンピオン(『ニューヨーカーの青い鳥』)の主演舞台『Les Hauts plateaux』のガラガラのマチネを見終えた後に(これまた選択ミス)、夜8時30分の最終回に5本の短篇をまとめて上映する回を見ることが出来た。
今回の上映プログラムは、短期滞在者には辛いもので、夜が主体の上映で、8時と8時半に2つのホールで上映するなんてことをして数を稼ぐことは困難。その日は、8時からは「イタリアにおける闘争」を上映していたが、そちらの状況は並んでいては不明。開場もぎりぎりで、上映間近というのに、人もまばらな感じだったので、もう大して人気もないのかなと、思えたのだが、いざ上映開始時刻になるとほぼ客席は埋まっているので、感心!
上映がスタートすると始まったのはジュネーヴで撮影したコメディ『コケティッシュな女』 Une femme coquette である。16ミリなので荒い質感だが、爆笑の短篇であった!! その後は『新・七つの大罪』の「怠惰の罪」、『愛すべき女・女たち』の「未来展望」のニュープリ、その間に、『パリところどころ』の『モンパルナスとルヴァロワ』、そして大幅に飛んで『アリア』からリュリ『アルミード』(日本公開時の版はカット&修正の嵐だったので、別モノとして見直せたのは収穫!!)。どの作品も会場は大ウケで、この組み合わせは、笑える短篇集になっていた。上映前は、何で『コンクリート作戦』や『ロゴパグ』の『新世界』とやらないのかと、思ったのだが、それはトーンを考えての上映のようであった。
その翌日にパリを離れたので、以後の状況は分かりませんが、この特集は8月14日まで延々と続くので、ライバルのシネマテークでの特集「リチャード・フライシャー」「イタリア喜劇」などと上映スケジュールを検討して、映画三昧のパリ旅行計画なんてのもいい時期のようです...(そんな余裕ないか!)。
ちなみに、学生運動のマニフェストなどはあっても、その場所を避ければ危険ではないので恐れる必要はありません。ただソルボンヌ大学横の名画座シャンポーやルフレに行く時に遠回りしなくては辿り着けないなんてことはありますが。