ミュージカル版『吸血鬼』日本公演
ロマン・ポランスキが1967年に発表した映画『吸血鬼』。30年後の1997年に、ジム・スタインマン作曲、ミヒャエル・クンツェ台本で「Tanz der Vampire」(映画の英国題は「Dance of the Vampire」だが、米国題は「The Fearless Vampire Killers」)としてミュージカル化され、ウィーンのライムント劇場で初演されるにあたり、ポランスキ自身が演出にあたった。
スタインマンはミート・ローフの「66%の誘惑」「地獄のロック・ライダー」などの一連の曲を書き、ボニー・タイラーの『愛の翳り』『ヒーロー』、そして映画『ストリート・オブ・ファイヤー』のオープニング「ノーウェア・ファスト」とエンディングの「今夜は青春」でもおなじみ。これまでの彼の楽曲のエッセンスを網羅させて創り上げたこのミュージカルは、聴く者を最高に盛り上がらせ、しかも映画版を演出したポランスキが映画を見た人も全く失望させないどころか、見事に映画の世界を舞台に移し替えることに成功させ、ウィーンでのロングランに続いて、シュトゥットガルト、ハンブルクと場所を替えて公演され、今年1月22日に総立ちで千秋楽を迎えた。しかし、これで終わる訳がなく、2006年12月16日からベルリンでの公演が再び始まるので、リピーターには朗報。
残念ならがブロードウェイでは、ポランスキが渡米できなかったため別の演出家で作曲家本人による英語台本の公演となり、《オペラ座の怪人》でミュージカル・スターとなった『ナック』のマイケル・クローフォードが主演を務めたが、9/11後の影響と豪雪なども合わせて集客が出来ず、打ち切りとなった。日本では「ダンス オブ ヴァンパイア」として、この7月にポランスキ演出ではなく山田和也の新演出で、遂に日本初演となる。ロック・ミュージカルというより、ロック・オペラとも呼べる程、声楽的に技量を要するハードな作品であるが、映画での軽妙な部分もしっかりと残っているので、どのように料理されるのかが見ものである。
ロマン・ポランスキのDVD『初期短篇全集』(紀伊国屋)