DVD&放映録画鑑賞メモその8「メアリー・オブ・スコットランド」
1936年、「虎鮫島脱獄」の次あたりの作品ですが、これもまず撮影、照明、美術、小道具、衣装、画面が圧倒的に素晴らしいです。もう白黒撮影ここに極まれりという感じです。ほとんどが宮殿の中のセットシーンですが、こんなに豪華な、本物らしいものは初めて見ました。暖炉ひとつとっても、これが本格だと感じさせてくれます。メアリーと3人の男、エリザベス女王との対立を描いていますが、見事な画面、見事は芝居の連続で圧倒されます。とりわけ前半のキャサリン・ヘップバーンの顔のアップが印象的です。ここまで女の顔のクローズアップを多用しているのはフォードとしては珍しい感じです。アップにせざるを得ない不思議な魅力を放っていたのか、アップにすることで魅力を放たせたのか。いずれにしてもスタンバーグ=デートリッヒに匹敵する凄さがあります。
監督、惚れてたんでしょう、とおもってたらYOU TUBEで70年代のヘップバーンとフォードの会話、しかもインタビュー終了後?のプライベートな会話の録音がピーター・ボグタノビッチのドキュメンタリーで紹介されているらしく、
その抜粋があって、これで「I LOVE YOU」というフォードのヘップバーンへのささやきを聞いてしまいましたが、これを公開するって、どうなのよ。ボクダノビッチさんよお、こんなことで「実証」でもしているつもりだとしてもそれは下品でしょう。
そんな怒りにかられるほど、崇高な美しさ、といってもいいかもしれないような何かがこの映画にはあるような気がします。それはメアリーの愛する秘書役のジョン・キャラダインが弦楽器を奏で、歌うシーンに凝縮されています。キャラダインって人もフォードの分身だったんでしょうね。
当時日本未公開、80年代に一度ビデオは出ていたようですが、この美しいDVD版はぜひ日本でも出すべきですね。いや、大スクリーンで見たいです!
※動画をご覧になるには最新のMacromedia Flash Playerがインストールされている必要があります。再生されない方はダウンロードページより、お使いの環境に必要なものをインストールして下さい。

Faux
5月12日はキャサリン・ヘプバーン生誕100年。「DVD&放映録画 鑑賞メモ1 「虎鮫島脱獄」」のコメントにヘプバーン関連新譜DVDのことを書いたので、そちらも参照してください。
同じくジョン・フォードとゆかりの深いジョン・ウェインは5月26日が生誕100年。ワーナーから生誕100年記念として5月11日、13タイトルを980円で発売。
http://www.whv.jp/title/john_wayne/
フォード監督作に『捜索者』『三人の名付親』がありますが、シネラマ劇映画第1作『西部開拓史』のフォード演出部分の第3話『南北戦争』も必見。これはストローブ=ユイレのお気に入りの1本でもあります。
1982年、ニューヨークでのストローブ=ユイレ特集上映の際、彼らの選んだ併映作は以下の通り。
『アントニオ・ダス・モルテス』(69。グラウベル・ローシャ)、『怒りの日』(43。カール・テオドア・ドライヤー)、『ニューヨークの王様』(57。チャーリー・チャップリン)、『小麦の買占め』(09。D・W・グリフィス)、『糧なき土地』(32。ルイス・ブニュエル)、『南北戦争』(62。ジョン・フォード)、『アレクサンドル・ネフスキー』(38。セルゲイ・エイゼンシュテイン)、『アルプス颪』(18。エリック・フォン・ストローハイム)、『この土地は私のもの』(43。ジャン・ルノワール)、『残菊物語』(39。溝口健二)、『ビリー・ザ・キッドの冒険 Une Aventure de Billy le Kid』(70。リュック・ムレ)。
『ビリー・ザ・キッドの冒険』のDVDは「世界映画DVD発見」の第16回で紹介。
2007年05月10日 16:40
Faux
『メアリー・オブ・スコットランド』(36)の原作(33年)の作家マックスウェル・アンダーソン(1888-1959)は、『栄光』(26。ラウル・ウォルシュ)およびそのリメイク『栄光何するものぞ』(52。ジョン・フォード)の原作戯曲(24年)や、『キー・ラーゴ』(48。ジョン・ヒューストン)の原作(39年)も書いています。
アンダーソンの『Elizabeth the Queen』(30)は、『女王エリザベス』(DVD題。39。マイケル・カーティーズ)として映画化されています。ベッテ・デイヴィスがエリザベス1世(『エリザベス』でケイト・ブランシェットが演じた人物)、エロール・フリンがエセックス伯ロバート・ダドリー、オリヴィア・デ・ハヴィランドがレイディ・ペネロピー・グレイを演じています。音楽はエーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト。『エロール・フリン・シグネチャー・コレクション』に入っていますが限定生産のため国内盤は品切れ。北米盤は以下を参照。
http://whv.warnerbros.com/WHVPORTAL/Portal/product.jsp?OID=1583
『1000日のアン』(69。チャールズ・ジャロット)の原作(48年)もアンダーソン。こちらはヘンリー8世をリチャード・バートン、エリザベス1世の生母アン・ブーリンをジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドが演じています。DVDは英Universal Picturesより発売。
2007年05月11日 00:32