DVD鑑賞メモ 9 「バッファロー大隊」
アメリカ版フォードBOXよりジョンフォード・プロダクション/ワーナー製作1960年の作品を。原題の“Sergeant Rutledge”ラトリッジ軍曹とは本編中、暴行殺人容疑者で軍法会議にかけられる黒人のことで、主役は「捜索者」でジョン・ウェインと旅を共にしたジェフリー・ハンター。
軍法会議といっても、騎兵隊時代のアメリカ陸軍の話で、ウェスタン味の法廷ものという趣向で、特典のオリジナル予告編では「サスペンスミステリー」として売っているので、この頃フォードといえども西部劇というだけでは当たらなかかったのでしょうか。
やはり気になるのは黒人の話、であること。容疑者以外にも多く黒人の同僚兵士らが登場。人種偏見の愚をストレートに訴えているところを感じます。黒人の描き方は「虎鮫島脱獄」同様、偏見に怯えざるをえない当時の彼らの立場を反映しているので、決して彼らの内面描写に突っ込んでいるとはいえないのですが、あえてこんな話をやろうとするフォードにますます興味がわいてきます。それは案外、社会派ということだけではなくて、物語の中心は常に、生きることの困難さ、ということにあるような気がするからです。黒人やインディアン、白人でも貧農や冤罪犠牲者などなど、普通に生きるうえで大変な困難をかかえざるを得ない人々の闘いの話なんですね。それを常におおらかなユーモアと激しいアクションとともに描いて、他の映画ではなかなか達成できない高みに、どんな作品でも到達しています。
というのもこれの後、ホークスの「大自然の凱歌」を見て、フォードならこのように男と女の欲望の話ということには、ならず、男同士の友情や夫婦の話に重点が置かれてゆくだろうな、と思ったものですから。もちろん「大自然の凱歌」も好きですが、若い頃フォードに熱中できなかったのは、このテーマ性に
あるような気もします。いまさらながらホークス、ヒッチコックって男女の欲望、なんだということがフォードをみることで、気づかされております。
※動画をご覧になるには最新のMacromedia Flash Playerがインストールされている必要があります。再生されない方はダウンロードページより、お使いの環境に必要なものをインストールして下さい。

Faux
1916年に映画デビューした女優ビリー・バークの最後の映画出演作が『バファロー大隊』(60)です。「DVD&放映録画 鑑賞メモ3「モホークの太鼓」ほか」のコメントに書いたメイ・マーシュとお喋りするおばあさん。1885年生まれのビリー・バークは1970年5月14日に亡くなりました。
ビリー・バークBillie Burkeの父Billy Burkeは国際的に有名な道化。彼女は1903年にロンドンで初舞台を踏み、1907年に帰国。1914年、「ジーグフェルド・フォリーズ」やミュージカル『ショウ・ボート』(27)の製作で有名なフロレンス・ジーグフェルド・ジュニア(1867-1932)と結婚、1921年にいったん映画界引退。BBSの1491「初期ヘプバーン」で紹介した『愛の嗚咽』(32)で初めてトーキーに出演。同年夫をなくす。同じくキャサリン・ヘプバーン主演の『人生の高度計』(33)に出演。セルズニック製作の『晩餐八時』(33)のジョーダン夫人役が有名。ジョージ・キューカー監督の『晩餐八時』は北米Warnerから2005年にDVDが出ています。その他、ミリアム・ホプキンス主演のカラー映画で380円DVDも出ている『虚栄の市』(35)、コンスタンス・ベネット、ケアリ・グラント共演の『天国漫歩』(37)、「北の魔女グリンダ」を演じた『オズの魔法使』(39)、ヴィンセント・ミネリの『花嫁の父』(50)と続編『可愛い配当』(51)に出演。『天国漫歩』のDVDは続編『Topper Returns』(37)とともにLions Gateから2003年に出ています。
『バファロー大隊』の前に、ポール・ニューマン主演の『都会のジャングル』(59)に出ていますが、これは北米Warnerから2006年に出た
『The Paul Newman Collection』DVD-BOXに収録。
2007年05月14日 15:47