DVD鑑賞メモ13 「我れ暁に死す」

ひきつづき米ワーナーの「タフ・コレクション」からジェームス・キャグニー、ジョージ・ラフト共演の「我れ暁に死す」を。

これまた刑務所ものです。ただ今回は刑務所内の描写にはちゃんと緊迫感があります。さらに所長役がなんとジョージ“暗黒街”バンクロフトで、貫禄たっぷり見せてくれます。囚人たちの顔つきが、十分それっぽく、くたびれかたや嫌な看守にいびられて怒りをこらえたりする鬱屈した表情もばっちりです。キャグニー&ラフトはそこにいるだけで、画面にエネルギーが満ちあふれます。ラフトのちょっと甲高い話っぷり、超然とクールな面構え、実に素晴らしいです。キャグニーは看守に取り押さえながら感きわまって泣き声で無実をうったえる、というシーンが一見地味ですがやはり圧倒的にすごいです。
クライマックスで囚人たちが集団脱走するくだりで、軍隊が出動するのに驚きます。マシンガンの銃撃がどうみても一部本物のようで、その中での役者たちの怯えや伏せる演技もまさに迫真ものです。ラフトなんか、相手の顔をつるし上げながら、その目前でピストルを発射させます。真後ろの壁にリアルな穴があきます。さすがにこれは別の位置から撃ったものかもしれませんが、やられる役者さんにとってはとんでもないですな。音も本物の銃撃や手榴弾の爆発を同時録音したものでしょう。本物の音を目の前で聞いた体験などありませんが、生々しさ臨場感がすごいです。下の動画でさわりを紹介しちゃいます。(これがくせになるといけませんね)
残念ながら、小生の乏しい英語力では、会話はほとんど理解できませんでした。
結構早口で、言い回しも特殊なんでしょうか、とおもっていたら特典映像としてギャング映画の言語についての20分ほどのドキュメンタリーがついていました。みんなキャグニーやロビンソンに憧れて、映画をみてしゃべり方をまねしたもんだ、と言ってるのは我々が「仁義なき戦い」を見ると語尾に「じゃけん」とつけてみたくなるのと一緒ですなあ。この特典は後でちゃんと見てみます。
そういえば、流血の描写というのほぼはないですね。そもそも派手な弾着や流血描写がはやりだしたたのはいつごろからなんでしょう。東映やくざ映画とはそこが違いますね。

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『我れ暁に死す』(39)の撮影監督はアーサー・エディソン(1891-1970)ですが、彼は『西部戦線異状なし』(30)の撮影監督でもあります(共同撮影は最後の蝶の場面を撮ったカール・フロイントと『犯罪王リコ』『地獄の天使』のトニー・ゴーディオ)。
1913年から撮影を手がけている大ベテランで、20年代にドイツ表現主義的な照明をハリウッドに導入。その他の作品に以下のものが。これを見れば、黄金期のハリウッドが彼に負うものがいかに大きいかわかるはずです。
 『三銃士』(21。フレッド・ニブロ)、『ロビン・フッド』(22。アラン・ドワン)、『バグダッドの盗賊』(24。ラウル・ウォルシュ)、『ロスト・ワールド』(25。ハリー・O・ホイト)、『ステラ・ダラス』(25。ヘンリー・キング)、『懐しのアリゾナ』(29。アーヴィング・カミングス)、『ビッグ・トレイル』(30。ラウル・ウォルシュ)の70ミリ版、『ウォタルウ橋』(31。ジェイムズ・ホエイル)、『フランケンシュタイン』(31。ジェイムズ・ホエイル)、『透明人間』(33。ジェイムズ・ホエイル)、『戦艦バウンティ号の叛乱』(35。フランク・ロイド)、『夜までドライブ』(40。ラウル・ウォルシュ)、『マルタの鷹』(41。ジョン・ヒューストン)、『カサブランカ』(42。マイケル・カーティーズ)、『仮面の男』(44。ジーン・ネグレスコ)。ジョン・フォード監督の『肉体』(32)の撮影も手がけています。
1942年の時点で、エディソンは自らキャメラを操作することを好んでいたそうです。ワーナー社での通称は「小ナポレオン」。
以下のデータを参照。
http://www.cinematographers.nl/GreatDoPh/edeson.htm
http://www.filmreference.com/Writers-and-Production-Artists-De-Edo/Edeson-Arthur.html

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北米Warnerの『Tough Guy Collection』DVD-BOX(6枚組)収録の『Gメン』(35)、『弾丸か投票か!』(36)、『我れ暁に死す』(39)のウィリアム・キーリー監督の日本未公開作が、北米Warnerから4月24日に発売された『James Cagney : The Signature Collection』DVD-BOX(5枚組)に入っています。『The Bride Came C.O.D.』(41)、『熱帯 Torrid Zone』(40)、『The Fighting 69th』(40)の3作です。
 恋愛冒険喜劇『The Bride Came』の共演者はベッテ・デイヴィス。撮影は『彼奴は顔役だ』(39)、『大雷雨』(41)のアーネスト・ハラー。
 冒険喜劇『熱帯』の共演者は、『夜までドライブ They Drive by Night』(40)のアン・シェリダンと、『San Quentin』(37)の看守長役、『汚れた顔の天使』(38)の牧師役のパット・オブライエン。撮影は『エイブ・リンカーン』(40)、『いちごブロンド』(41)のジェイムズ・ウォン・ハウ。
 大半がニューヨーク生まれのアイリッシュからなるニューヨーク「第69歩兵連隊」を描く第一次大戦もの『The Fighting 69th』の共演はこれまたパット・オブライエン。撮影は『月光の女』(40)、『ハイ・シエラ』(41)のトニー・ガウディオ(ゴーディオではなくガウディオのようです)。
 『James Cagney : The Signature Collection』の他の収録作は、『空軍の暴れん坊 Captains of the Clouds』(42。マイケル・カーティーズ)、『The West Point Story』(50。ロイ・デル・ルース)。
 キーリー監督の喜劇『晩餐に来た男』(42)のDVDも北米Warnerから出ています。主演はベッテ・デイヴィスとアン・シェリダンとモンティ・ウーリー。同作は『The Bette Davis Collection Vol.2』DVD-BOX(7枚組)にも収録。
 マーク・トウェインの小説『王子と乞食』に基づき、キーリーが監督、エロール・フリンが主演した『放浪の王子』(37)のDVDは、やはり北米Warnerから出ています。音楽はエーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト。
 キーリー監督、リチャード・ウィドマーク主演のフィルム・ノワール『情無用の街』(48)のDVDは2006年に20世紀フォックスから国内盤が出ています。ジュネス企画からも2005年に同作のDVDが出ていますが、片面2層、英語字幕も付くフォックスの正規盤がお勧めです。撮影は『荒野の決闘』(46)、『ビガー・ザン・ライフ』(56)のジョー・マクドナルド。脚本は『ミクロの決死圏』(66)、『ブリット』(68)のハリー・クライナー。

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アーサー・エディソン撮影の『魔の家 The Old Dark House』(32。ジェイムズ・ホエイル)のKino on Video盤DVDを観ました。出演者の一人、グロリア・スチュワート(BBSの1589も参照)、ホエイル研究者のジェイムズ・カーティスの二種類の音声解説付き。
 ジェネオンから国内盤も出ていましたが廃盤です。
 嵐の夜、ウェールズの山中を通る五人の人物が、狂人一家の住む不気味な屋敷で一夜を過ごすという奇妙なカルト映画です。ホラー映画というより、怪奇コメディとでもいうべき奇妙な味わいが今観ると興味深い作品。リメイクがウィリアム・キャッスルの『戦慄の殺人屋敷 The Old Dark House』(放映題。63)。
 失われた映画となりかけたところを、1968年にカーティス・ハリントンの尽力でユニヴァーサル社のフィルム庫から発見されました。
 新人時代のグロリア・スチュワートは美しいです。聾唖者の執事モーガン役のボリス・カーロフのメイクは本当に怖いです。
 ほかにメルヴィン・ダグラス、レイモンド・マッセイ、チャールズ・ロートンらが出ています。
 英語採録台本が以下で読めます。
http://www.geocities.com/emruf/odh.html

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『魔の家』の幻のプリントを発掘したカーティス・ハリントンが5月6日に亡くなっていたことを知りました。享年80。監督作『ナイト・タイド Night Tide』(61)などで知られていますが、ケネス・アンガーの『プース・モーメント』(49)では撮影を担当、『快楽殿の創造』(54)に出演しています。
 デニス・ホッパー主演の『ナイト・タイド』は、ハーク・ハーヴェイのカルト名作『恐怖の足跡』(61)とのカップリングでエプコットからDVDが出ています。
以下で視聴可。
http://www.hollywoodparty.net/022.html
 また、バジル・ラスボーン主演、ジョン・セバスチャン監督名義の『原始惑星への旅 Voyage to the Prehistoric Planet』(65)のDVDはWHDジャパンから2006年9月15日発売。73分。
http://whdjapan.shop4.makeshop.jp/
 脚本ヘンリー・ファレル(『何がジェーンに起ったか?』『ふるえて眠れ』)の『ヘレンに何が起こったのか? What's the Matter with Helen?』とマーク・レスター出演の『誰がルーおばさんを殺したか? Whoever Slew Auntie Roo?』(71)の2本立てDVDおよびシルヴィア・クリステル主演『魔性の女スパイ Mata Hari』(85)のDVDは北米MGMから発売。
 脚本ヘンリー・ファレル、アンソニー・パーキンス主演の『How Awful About Allan』(70)のDVDは北米Legacy Entertainmentから発売。
 パイパー・ローリー主演『Ruby』(77)のDVDは北米VCI Videoから発売。DVDに収録されているのは劇場公開版ですが、TV放映版の(VHS発売)方が長い全長版です。

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