DVD&放映鑑賞メモ6 「That Lady In Ermine」
「That Lady in Ernmine(あのアーミン毛皮の貴婦人)」That Lady in Ernmine(あのアーミン毛皮の貴婦人)」
世界DVD発見 第22回にも紹介があるルビッチの最後の監督作です。撮影36日目で急死してしまったあとをプレミンジャーが引き継いだという作品。
でも本編クレジットは製作/監督:ルビッチにばっちりなっているし、ジャケットにある当時のポスターもルビッチの名前で売っています。撮影36日というのが、実質の俳優をいれての撮影だったのでしょうか。ルビッチ映画の雰囲気が感じられない仕上がりなので、がっかりしてしまいました。宮廷ものの豪華美術と色彩、額縁の中から歴史的な人物が出てくる活人画のシーンで、はじめはわくわくさせられますが、ベティ・グレイブルとダグラス・フェアバンクス・ジュニアにちっともユーモアが感じされないのです。監督と急死という事態が現場に悪く影響したのでしょうか、プレミンジャーの資質なのでしょうか、助演陣もこわばっている感じです。とくにベティ・グレイブルの白目をむくようなあざとい芝居、余裕のなさではルビッチ世界はつくられないでは。スタイルも顔もきれいですが、女優としてはどうなのでしょうか。ノワールもので脚と唇で勝負したらいいかもしれません。でもそういう作品がなさそうです。(そういえばピンナップ・ガールの代名詞的なひとでした。)ルビッチ実質最後の前作「ルービッチュの小間使 クルーニー・ブラウン」のジェニファー・ジョーンズとシャルル・ボワイエのチャーミングさがつくづく素晴らしく思い出されます。あの人なつっこい感じ、親近感がルビッチ・タッチの基本ではないでしょうか。だから傑作の誉れ高い「天国は待ってくれる」のジーン・ティアニーもちょっとクールすぎるような気がします、もうすこし「隙」が感じられたらどうでしょう。あと「天使」のマレーネ・デートリッヒも、もちろん女優としては尊敬していますが、スタンバーグ風のアップが入ると映画の流れが止まってしまうようです。ちなみにデートリッヒは自伝でルビッチ製作「真珠の頸飾り」のフランク・ボゼーギ監督は褒めたたたえていても、「天使」は作品自体、あまりいいできじゃなかった、と語っています。ルビッチとデートリッヒは、あわなかったのでしょう。
ルビッチ映画のすごいところはそのテンポ、流れ、動きですよね。
とりわけ30年代のシュバリエ=マクドナルドのコンビのオペレッタ「ラブ・パレード」、「陽気な中尉さん」、「君とひととき」、それに「メリィ・ウィドー」にその最高の達成があると思うのですが、いかがでしょうか。ルビッチって本当にすごい、実は映画世界最高にすごいかも、と今さら実感しているこのごろです。同時期のコメディではない「私を殺した男」もすごいです。
そういえばYOUTUBEでルビッチを検索してみたら「メリィ・ウィドー」のフランス語/メイン以外フランス人キャスト?版が英語版との比較をしながらのワンシーン見られるのでびっくりしました。
あとはドイツ時代のDVD、朝日ホールでの「花嫁人形」「白黒姉妹」「パッション」の3作上映(6月8日から13日のドイツ映画祭2007内の企画)も追いかけねば、です。
※動画をご覧になるには最新のMacromedia Flash Playerがインストールされている必要があります。再生されない方はダウンロードページより、お使いの環境に必要なものをインストールして下さい。

管理
Faux様の書き込みがこちらの内容にも触れられているので、転載させていただきます。
--------------------------------------------------------------------
Youtubeの抜粋比較映像に出て来る、『メリー・ウィドウ』(34)英語版の大使役はエドワード・エヴェレット・ホートン。『天使』(37)、『青髭八人目の妻』(38)にも出てますが、プレミンジャーの奇人喜劇『危険-勤務中の恋愛 Danger - Love at Work』(37)にも富豪のバカ娘アン・サザンのマヌケな婚約者役で出ています。『危険』でのキャラはやや平板ですが。
『メリー・ウィドウ』フランス語版『La veuve joyeuse』の大使役マルセル・ヴァレは、ルネ・クレールの監督第一作『眠るパリ』(23-25)にも泥棒役で出ています。
『眠るパリ』は紀伊國屋書店+シネフィル・イマジカから近日発売予定の『ルネ・クレールDVD-BOX2』収録の『巴里の屋根の下』(30)の特典として日本初DVD化。ただし、2000年にシネマテーク・フランセーズの修復した71分の全長版ではなく、1971年にクレールがTV放映用に短縮した通称「パテ版」。
『La veuve joyeuse』については以下も参照。
http://www.aubonticket.com/v4/Veuve-joyeuse-la-f7401.xml
2007年05月02日 19:44
Faux
『陽気な中尉さん』(31)、『君とひととき』(32)、『極楽特急』(32)、『メリー・ウィドウ』(34)、『天使』(37)、『桃色の店(街角)』(40)、『天国は待ってくれる』(43)、『That Lady in Ermine』(48)でルービッチュと組んでいるサムソン・ラフェルソン(1894-1983)の脚色作に、『会議は踊る』(31)のエリック・シャレルがフォックスで監督した、ハンガリーを舞台にした音楽映画『キャラバン』(34)があります。
ちなみに『ファイブ・イージー・ピーセズ』(70)の監督ボブ・ラフェルソンはサムソンの甥。
『キャラバン』のあらすじ等は以下を参照。
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=2171
未見ですが、eBayでNTSCのVHSを売ってる人がいます。
『キャラバン』の原作は、『天使』、『ニノチカ』(39)のメルヒオール・レンギール(マジャール語ではレンジェル・メニヘールト。1880-1974)。バルトーク・ベーラが舞台音楽化したことで知られる『中国の不思議な役人』も彼の台本。
『キャラバン』の主演はシャルル・ボワイエ、ロレッタ・ヤング。これにもフランス語版『Caravane』があって、ロレッタ・ヤングのやったヴィルマ役を『巴里祭』(33)のアナベラが演じています。その他、ピエール・ブラッスール、マルセル・ヴァレなども出演。
ボワイエの30年代出演作について(英語)。
http://themave.com/Boyer/CB30sFS.htm
『Caravane』については以下も参照(フランス語)。
http://www.aubonticket.com/v4/Caravane-f16025.xml
音楽はヴェルナー・リヒャルト・ハイマン(1896-1961)。ケーニヒスベルク(現ロシア、カリーニングラード)の生まれで、第一次大戦ではプロイセン軍に従軍、ベルリン・フィル、ヴィーン・フィル、マックス・ラインハルトの劇団でも働き、1925年にウーファの音楽監督に。1933年にナチから逃れ米国に亡命。映画音楽に、『ファウスト』(26)、『スピオーネ』(28)、『ガソリンボーイ三人組』(30)、『狂乱のモンテカルロ』(31)、『会議は踊る』(31)など。
ルービッチュ監督作では、『天使』(37)、『青髭八人目の妻』(38)、『ニノチカ』(39)、『桃色の店(街角)』(40)、『淑女超特急』(ビデオ題。41)、『生きるべきか死ぬべきか』(42)の音楽を担当。
「世界映画DVD発見」の「第13回」で言及されているロバート・ワイズの監督第一作『ナチスに挑んだ女』(ビデオ題。44)の音楽も。
ハイマンについては以下のサイトを参照(独語・英語)。
http://www.heymann-musik.de/Eindex.htm
2007年05月03日 16:54
kate
ベティ・グレイブルのノワール作品は、ヴィクター・マチュアと共演した『I Wake Up Screaming』(1941 H・ブルース・ハンバーストーン監督)がありました。(北米フォックスでDVD化されています)
2007年05月11日 01:01
Faux
スティーヴ・フィッシャー(12-80)原作・脚本の最初期フィルム・ノワールとして名高い『I Wake Up Screaming』(41)は、ミルトン・スパーリング(12-88)の『銀嶺セレナーデ』(41。H・ブルース・ハンバーストン)に続く20世紀フォックスでの初期のプロデュース作。ソーニャ・ヘニー(『銀盤の女王』)、ジョン・ペイン、グレン・ミラー(グレン・ミラー楽団の「Moonlight Serenade」の演奏あり)主演の『銀嶺セレナーデ』のDVDは2006年に国内盤が出ました。
『I Wake Up Screaming』は『Vicki』(53。ハリー・ホーナー)としてリメイクされています。
戦争末期、戦時情報局で戦争記録映画の製作に携わったスパーリングの戦時中の作品は日本ではあまり知られていませんが、終戦後に自らのUnited States Picturesで製作した『外套と短剣』(46。フリッツ・ラング)あたりからなじみがあるのではないでしょうか。
United States Pictures作品では、とりわけ、テレサ・ライト、ロバート・ミッチャム共演のノワール西部劇『追跡』(47。ラウル・ウォルシュ)、ハンフリー・ボガート主演のフィルム・ノワール『脅迫者』(51。ブリテイン・ウィンダスト、ラウル・ウォルシュ)は重要です。
他のUnited States Pctures作品に、『セントルイス』(49。レイ・エンライト)、『遠い太鼓』(51。ウォルシュ)、『地獄への退却』(52。ジョーゼフ・H・ルイス)、『吹き荒ぶ風』(53。フーゴ・フレゴネーゼ)、『軍法会議』(55。オットー・プレミンジャー)、『暗黒街の帝王レッグス・ダイヤモンド』(60。バッド・ベティカー)、『陽動作戦』(62。サミュエル・フラー)、『バルジ大作戦』(65。ケン・アナキン)があります。
2007年06月16日 20:52
Faux
書きそびれましたが、『Vicki』(53。ハリー・ホーナー)のDVDは北米Foxから2006年に出ています。主演はジーン・クレイン(『哀愁の湖』『三人の妻への手紙』)、ジーン・ピーターズ(『女海賊アン』『拾った女』)。
以下の英語レヴュー参照。
http://www.dvdtalk.com/dvdsavant/s2087vick.html
2007年06月16日 21:03
Faux
訂正。『I Wake Up Screaming』の脚本は、『トップ・ハット』(35)のドワイト・テイラーです。
2007年06月17日 00:23
Faux
訂正。『I Wake Up Screaming』の脚本は、『トップ・ハット』(35)のドワイト・ライトです。
2007年06月17日 00:23
Faux
二重訂正になっていますが、上記訂正で正しい方は、ドワイト・テイラーです。
2007年06月17日 16:07