DVD&放映録画 鑑賞メモ3「モホークの太鼓」ほか


「モホークの太鼓」
デジタル復元されたテクニカラー米国版。本編を見た後モノクロ版の予告編を見ると、あまりの貧しい印象に驚き。

このカラーの素晴らしさ。とりわけ田園風景、それにクローデット・コルベールのキュートさが色彩のなかで息づいてます。「虎鮫」では強烈な看守役でその顔のアップがすごいジョン・キャラダインが、ほとんど台詞もなく佇んでいるだけですべての悪を背負って立っているよう。アクションシーンもかなりの見応えで、迫り来る騎馬隊や落馬スタントだけでも昨今のスペクタクル超大作は吹き飛びます。ヘンリー・フォンダとの夫婦ものの趣きがいいです。夫婦をかくまってくれるおばさんの破天荒ぶりもうれしく、こうした助演陣の描写力という点でフォードという演出家への尊敬を新たにします。
フォクスですから「スタジオ・クラシックス・シリーズ」で日本版を期待したいところです。

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「タバコ・ロード」
日本版DVDを見終わって、80年代にシャンテで見たはずだ
とはじめて気がつきました。というのも当時の宣伝が「わが谷は緑なりき」風のいわゆる名作的な売り方だったので、見始めてあまりに叙情と遠い内容にこちらの調子があわず、ほとんどちゃんと見ていなかったのです。当時社会人になったばかりで映画がどんどん遠おのいていっていた、という言い訳もありますが。ラストの老夫婦の歩きの見事な叙情が記憶を呼び覚ましたというわけです。
今回は登場人物の型破りな造形に驚くばかり。画面の躍動感がたまらない。日本版のジャケットがジーン・ティアニーの官能を全面に押し出しているのは、シャンテでのリバイバル同様、誤解を招くのでは。貧農の話を叙情ではなく、活劇として描いている規格外の作品を、もっとうまく「売る」方法はないものでしょうか。この作品に限らず、タイトルや物語からふつう期待するものを、ことこどくひっくりかえしてくれるのが、いい映画のような気をします。
画質はいいです。

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Faux

 「ハリウッドの栄光の年」1939年のフォード映画の中でも忘れられがちなのがフォード初のカラー(部分染色を除く)作品『モホークの太鼓』。さすがに70年近い歳月を経た今、大戦を挟んでいることからも、当時の状況はピンと来ません。ロビン・ウッドによると、『モホークの太鼓』のコンセプトは、製作当時のアメリカの状況、大不況を脱し、世界がファシズムにたいする民主主義の戦争に突入しかけていた状況に合致するとのこと。
 フォードは1894年2月1日生まれなので、1939年には45歳ということになりますが、23歳から映画監督を続けているのでキャリアは20年以上。一方、製作者のザナックは1902年9月5日生まれなので、1939年には37歳。ザナックにとっても1939年は、1832年を舞台にした『若き日のリンカン』、独立戦争前の1776年を舞台にした『モホークの太鼓』という2本のフォード=フォンダ時代劇によって記憶される年ではないでしょうか。あるいはむしろ同年はザナック=フォード=フォンダの現代劇『怒りの葡萄』が撮影された年として記憶されているのでしょうか。なおヘンリー・フォンダは1905年5月16日生まれなので1939年には34歳。
 公開日は、『若き日のリンカン』が5月30日、『モホークの太鼓』が11月3日。ところが日本公開はというと、前者が1951年1月24日、後者が1949年9月20日。『タバコ・ロード』にいたっては本国公開が1941年2月20日にたいして日本公開は1987年の秋、日比谷シャンテのオープン記念でフォックス社の他の名作とあわせて初公開。1987年というとちょうど20年前ですが、この年の4月11日にコールドウェルは亡くなっています。コールドウェル原作の隠れた異色作『神の小さな土地』(58。監督アンソニー・マン。劇場公開題『真昼の欲情』)も紀伊國屋書店からDVDで出ているのでぜひ観ていただきたいものです。
 ところで、1939年のフォードに戻ると、3月2日に『駅馬車』公開、6月9日に『若き日のリンカン』公開、9月20日に『モホークの太鼓』公開。さらに1940年3月15日に『怒りの葡萄』公開、5月20日に『果てなき船路』公開、1941年2月20日に『タバコ・ロード』公開、10月28日に『わが谷は緑なりき』公開、このあと第二次大戦終了まで本国でも劇場公開作はありません。
 ちなみに『駅馬車』の撮影期間は1938年10月31日から12月23日、『若き日のリンカン』は1939年3月初頭から4月半ばまで、『モホークの太鼓』は1939年6月28日から9月5日、『怒りの葡萄』は10月4日から11月16日。
 なお、『モホークの太鼓』、『怒りの葡萄』、『タバコ・ロード』、『わが谷は緑なりき』、『荒野の決闘』(46)には、ノンクレジットで、D・W・グリフィス監督の『エルダー・ブッシュ峡谷の戦い』(13)の主演女優メイ・マーシュ(『国民の創生』ではKKKに殺される白人娘の役)が出ているので確認するのも一興かも。
 フランスでは、2005年にゴーモンから、『若き日のリンカン』、『虎鮫島脱獄』、『モホークの太鼓』のジョン・フォードDVD-BOXが出ています。


Faux

北米盤DVDの『モホークの太鼓』(39)に続いて、380円DVDでカート・ノイマン監督の『大襲撃 Mohawk』(56)を観ました。前者でヘンリー・フォンダが援軍を呼びに行き、三人のインディアンに追われながら全速力で走り続けるロングショットのいくつかが、後者の終盤、モホーク族からスコット・ブラディが砦に帰る場面に流用され、さらに前者の最初のインディアンの農場襲撃場面のいくつかのショット、夜襲場面のいくつかのショット(前者では真っ暗なのに、後者ではもっと明るい焼き)が、後者の襲撃場面に流用されています。18世紀のモホーク渓谷の初期白人入植民を描く、反戦的映画『大襲撃』はストーリーは陳腐ながら、『サンライズ』(26)の名匠カール・ストルスの撮影(パテカラー)は手堅いのですが、さすがにストック・ショットのモンタージュ場面は、画調のミスマッチと荒れが目立ちます。
ちなみにフォードの『四人の息子』(28)は『サンライズ』のオープン・セットを流用しています。以下の英語レヴュー参照。
http://www.sensesofcinema.com/contents/cteq/04/four_sons.html
 『モホークの太鼓』がインディアンを差別的に描いたのに対し、『大襲撃』は、主人公が最後モホーク族首長の養子になるなど、かなり親インディアン的なのに驚きます。ただし主要なインディアンを演じるのはリタ・ガム、テッド・デ・コーシア、ネヴィル・ブランドなどの白人。
 ちなみにジャック・ホルトとテッド・デ・コーシアは『ビッグ・コンボ』(『暴力団』。55)と『殺し屋ネルソン』(57)でも共演。
 『モホークの太鼓』は日本では1949年に公開されましたがモノクロ版でした。アメリカでもモノクロ版プリントも流通していたようです。  
 18世紀のロジャース遊撃隊の苦難を描くキング・ヴィドアの『北西への道』(40)も本来テクニカラーなのに、今出回っている500円で出ているDVDはモノクロ。ちょっと物足りなかったです。北米ではカラー版VHSが出ていました。
http://www.amazon.com/Northwest-Passage-Spencer-Tracy/dp/6301973240

Faux

『大襲撃』はHollywood Partyでも観られます。
http://www.hollywoodparty.net/036.html

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