DVD&放映録画 鑑賞メモ1 「虎鮫島脱獄」
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最近、ちょっと何故か30年代のアメリカ映画のDVDや昔の日本映画の放映録画ものを多く見ています。
「世界映画DVD発見」や「日本映画の玉」でもとりあげている作品も多いので、この貴重な情報源に対するささやかな反応を、こころみ始めてみます。
この英国版DVDを見たあと30年代のフォード作品をいくつか見ているのですが、有名な「男の敵」や「果てなき船路」といったいささか文学的演劇的な作品よりも、字幕なしではこまかい台詞が理解できないということをさしひいても、このほうが断然ダイナミックで、見せ場の連続で見ていて面白いです。(もちろん「男の敵」もいいです。)冤罪、刑務所ものの恐怖感や脱走劇としてのサスペンスもありつつ、ドラマとしての厚みをもたらしている助演者たちが黒人であるところもポイントのひとつ。イギリス版DVDの特典映像の解説によると、アフリカ系アメリカ人がここまできっちり助演をつとめているのも当時としてはめずらしいとのこと。西部劇でのインディアンと同様、黒人に対しても普通の人間として描写しているところに何故か感動します。マイノリティを積極的に描いているイーストウッドはフォードのこうした一面を受け継いだのでしょうか。話はそれますが、「父親たちの星条旗」ではインディアンを描くことに力を注いでいたイーストウッドが日本人をどう描くか興味深かった「硫黄島からの手紙」は、やはり優しい視点でした。でもあまりに優しすぎで「星条旗」で「戦場にヒーローはいない」といっていながら渡辺謙は十分ヒロイックに見えたのは、どんなものでしょう。ついでに言えば、自分が死ぬであろう穴を掘らせられ、飢えに飢えた日本軍兵士たちの苦しみが、主役の青年の妙にのんびりした演技では出てこないのが、かなり不満でした。
「虎鮫」に戻ると、米軍のグアンタナモ収容所を想起させる内容という紹介を読んだのも見るきっかけになったのでした。何の証拠もないまま大統領暗殺に関わったテロ罪で、生きては戻れないような刑務所に送られる主人公の話は、現在でも強いリアリティがあります。あとは個人的理由で刑務所ものに興味があるのです。先日ツタヤで画質チェックのために借りたので何の予備知識もなかった「仮面の米国」が強制労働刑務所もの(主役は暗黒街の顔役のポール・ムニ)ですさまじい内容なので、正規の米国版を注文してしまいました。チェイン・ギャングというのは文字どおり鎖につながれている囚人たちのことだったんですね。
話はそれまくりましたが、みごとな画質の英国ユリイカ版には感謝です。アメリカではでてないんですよ。日本でもきっちり紹介したいものです。
お話が夫婦ものなのもいいです。
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Faux
すみません、「世界映画DVD発見」で『虎鮫島脱出』と書きましたが、『虎鮫島(シャークアイランド)脱獄』のマチガイです。直しておいてください(allcinemaも間違っています)。
『虎鮫島脱獄』(36)は、フォードがダリル・F・ザナックと組んだ最初の作品。(アソシエイト・プロデューサーは脚本家のナナリー・ジョンソン)。ザナック製作、ナナリー・ジョンソンがアソシエイト・プロデューサーの第一次大戦もの『永遠(とわ)の戦場』(36。監督ハワード・ホークス)もフランスのオープニング盤DVDが出たので観たいのですが。フレドリック・マーチと共に『虎鮫島脱獄』の主演ウォーナー・バクスターが主演格で出ています。
バート・グレノンのキアロスクーロ(明暗法)を強調した撮影は見事。厳格な対角線構図は、ストローブ=ユイレの『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』(67)などをふと思い出させもします。グレノンはこのあと、『ハリケーン』(37)、『駅馬車』(39)、『若き日のリンカン』(39)、『モホークの太鼓』(39)とフォード作品の照明設計を担当。
『虎鮫島脱獄』は、いかにも「感動の名作」っぽい作品なので、「物語」としては破綻をきたした破格の失敗作を偏愛する「作家政策」の観点からは熱狂的擁護が得られないのかもしれませんが、逆にもっと普通に観られてしかるべき作品でしょう。『怒りの葡萄』(40)、『タバコロード』(41)、『わが谷は緑なりき』(41)、『荒野の決闘』(46)あたりの時期がザナック色が最も出ているのかもしれませんが。ザナック製作作品には、「作家」の立ち入る余地はないというフィリップ・ダン(『わが谷は緑なりき』の脚本家)の証言もあります。
日本公開時には検閲により6分弱が削られたそうです。
黒人が自立的に描かれているかというと、やや疑問もあり、アーネスト・ホイットマン扮するバックはあまりに従順で愚かな下僕という感じもします。古きよき南部を美化しているのか(ナナリー・ジョンソンはジョージア州出身)。ちなみにホイットマンは『風と共に去りぬ』(39)や『ストーミー・ウェザー』(43)にもノンクレジットで出演、最後の映画出演作は、『周遊する蒸気船』(35)のステピン・フェチットも出ている『太陽は光輝く』(53)です。
ジェファーソン砦(シャーク・アイランド)司令官の役でハリー・ケリーが出ているのも嬉しいです。「I love the flag, and I'm jealous
of its honor 私は国旗を愛す。国旗の名誉を重んずる」は名台詞。
悪意に満ちたサディスティックな軍曹に扮するジョン・キャラディンはこれがフォード作品への初出演。このあと『メアリー・オブ・スコットランド』(36)、『ハリケーン』(37)、『四人の復讐』(38)、『サブマリン爆撃隊』(38)、『駅馬車』(39)、『モホークの太鼓』(39)、『怒りの葡萄』(40)に出ています。
キャラディンは、英BFIから2005年9月26日にDVDが出たプレミンジャーのハリウッド第2作にあたる奇人喜劇『危険―勤務中の恋愛 Danger - Love at Work』(未。37)にも奇人富豪一家のダリ風前衛画家の役で出ています。
2007年04月24日 22:50
Faux
ちょっと話題がそれますが、ここに書き込みます。連続長文お許しを。
スペインのマンガ・フィルムスからジョン・クロムウェル(1887-1979)監督作のDVD4点が4月25日に発売されました。いずれも日本未公開。ちなみに『クイーン』(2006)や『スパイダーマン3』(2007)に出ているジェイムズ・クロムウェル(1940年生まれ)は、ジョンの息子です。
『Ann Vickers』(33。主演アイリーン・ダン、ウォルター・ヒューストン)
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=8697
『This Man Is Mine』(34。主演アイリーン・ダン。ジェイムズの母ケイ・ジョンソンも出演)
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=8698
『Jalna』(35。主演のケイ・ジョンソンが歌も歌います)
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=8699
『望郷』(37)のリメイク『カスバの恋』(ビデオ題。38。主演シャルル・ボワイエ、ヘディ・ラマー)
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=8718
なお『In Name Only』(39。主演キャロル・ロンバード、ケアリ・グラント、ケイ・フランシス)のDVDは2006年11月22日発売済み。
5月12日に生誕100年を迎えるキャサリン・ヘプバーン主演の『Spitfire』(34。監督ジョン・クロムウェル)は、4月11日発売の『キャサリン・ヘプバーンDVD-BOX2』(5枚組)に収録。他の収録作は『偽装の女』(37。監督ジョージ・スティーヴンス)、『勝利の朝』(33。監督ロウエル・シャーマン)、『女性の反逆』(38。監督マーク・サンドリッチ)、『心の痛手』(35。監督フィリップ・モイラー)。ヘプバーンが映画館主たちから「興行成績の毒(box office poison)と呼ばれたRKO時代の今や珍しい作品も含みます。『アビエイター』(2004)でケイト・ブランシェットが当時の彼女を演じオスカーを獲ったのは周知の通り。
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=8985
2月14日発売の『キャサリン・ヘプバーンDVD-BOX1』(5枚組)の収録作は、『赤ちゃん教育』(38。監督ハワード・ホークス)、『男装』(35。監督ジョージ・キューカー)、『ロマンス・ライン』(56。監督ラルフ・トマス)、『アフリカの女王』(51。監督ジョン・ヒューストン)、『メアリー・オブ・スコットランド』(ビデオ題。36。監督ジョン・フォード)。
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=7931
北米ワーナーから5月29日発売の『キャサリン・ヘプバーン・シグネチャー・コレクション』DVD-BOX(6枚組)は、『勝利の朝』、ロバート・テイラー、ロバート・ミッチャム共演のフィルム・ノワール『Undercurrent』(46。監督ヴィンセント・ミネリ)、『男装』、スペンサー・トレイシーと共演の『Without Love』(45。監督ハロルド・S・バケット)、パール・バック女史の『龍子』の映画化、ヘプバーンが吊り目の中国人に扮する対日抗戦映画『Dragon Seed』(44。監督ハロルド・S・バケット、ジャック・コンウェイ)、『The Corn Is Green』(79。『小麦は緑』のTV版。監督ジョージ・キューカー)収録。
スペインのワーナーから6月29日に発売される『キャサリン・ヘプバーン・コレクション』限定DVD-BOXの収録作は、『パットとマイク』(放映題。52。監督ジョージ・キューカー)、『フィラデルフィア物語』(2枚組。40。監督ジョージ・キューカー)、『女性No.1』(42。監督ジョージ・スティーヴンス)、『アダム氏とマダム』(49。監督ジョージ・キューカー)、『Without Love』、『Undercurrent』、『The Corn Is Green』。
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=9739
2007年04月27日 20:31
Faux
ヘプバーン主演の『Spitfire』の邦題は『奇跡の処女』でした。
スペインのManga Filmsから5月23日にジョン・クロムウェル監督の『エイブ・リンカン』(40)のDVDが発売されます。『哀愁』(40)の原作者ロバート・E・シャーウッドがピュリッツァー賞を受けた舞台劇の映画化。リンカンに扮すのはレイモンド・マッセイ。撮影はジェイムズ・ウォン・ハウ。
http://www.zonadvd.com/modules.php?name=News&file=article&sid=9515
また6月13日には同レーベルよりクロムウェル監督の『泉』(34)のDVDも発売されます。原作はチャールズ・モーガン。脚本は『ローラ殺人事件』(44)、『ルービッチュの小間使』(46)のサミュエル・ホーフェンスタイン。主演は『永遠に愛せよ』(35)のアン・ハーディング。
淀川長治先生もお気に入りだった『永遠に愛せよ』は、北米Universalから出ている『The Gary Cooper Collection』(2枚組)に収録。他の収録作は『生活の設計』(33)、『将軍暁に死す』(36)、『ボー・ジェスト』(39)、『ベンガルの槍騎兵』(36)。
2007年05月19日 09:01
Faux
北米MGMから5月22日発売の『Gary Cooper MGM Movie Legends Collection』(4枚組)には、サミュエル・ゴールドウィン製作作品を収録。クーパーの本格デビュー作『夢想の楽園』(26。ヘンリー・キング)も含まれます。主演はロナルド・コールマンとヴィルマ・バンキー。
他の収録作は、日系の性格俳優、駒井哲(1894-1970)も出演している『暁の討伐隊』(39。ヘンリー・ハザウェイ)、マール・オベロン共演の『牧童と貴婦人』(38。H・C・ポター)、これだけはヘクト=ランカスター・プロ製作の西部劇『ベラクルス』(54。ロバート・オルドリッチ)。
2007年05月19日 19:57
Faux
北米MGMから5月22日発売のクーパー主演作『マルコ・ポーロの冒険』(38。アーチー・メイヨ)はサミュエル・ゴールドウィン製作ですが、第二班監督として、ゴールドウィン製作の『ハリケーン』(37)を監督したジョン・フォードがブリザードの場面とヒマラヤ越えの場面を演出しています。撮影時にはジョン・クロムウェルが監督でしたが5日目に降板。ゴールドウィンはワイラーに監督を打診しましたが断られ、クーパーをフェアバンクスかフリンに代えるよう進言されましたが、クーパー主演に執着。
2007年05月20日 14:22
Faux
MGMから5月22日に出るゴールドウィン=クーパー作品のDVDは、上記以外に、バーバラ・スタンウィック共演の『教授と美女』(41。ハワード・ホークス)、アンナ・ステン共演の『結婚の夜』(35。キング・ヴィドア)、それと、これだけはナナリー・ジョンソン製作、テレサ・ライト共演の『クーパーの花婿物語』(44。サム・ウッド)です。
『教授と美女』の国内盤DVDは、『青髭八人目の妻』(38。エルンスト・ルービッチュ)とともにジュネス企画から6月25日に出ますが…。
2007年05月20日 21:49
Kate
ヘプバーン主演『Spitfire』(1934)の邦題は『野いばら』だったと思います。
キャプラ監督、バーバラ・スタンウィック主演の『奇蹟の処女』(1931)の原題は『The Miracle Woman』でした。
2007年06月16日 01:05